長屋は旦那と大工の合作

盛六郷(さかりろくごう)と呼ばれていた現在の大船渡市内の農家には「長屋」と言って独特に工夫された建物がある。畜舎と農舎がセットされたもので、その時代、長屋門(中門)を造ることをはばかられた人々の創意工夫であろう。その特徴は厩(うまや)の二階梁が出桁(でげた)造りとなっていて、まぐさを与える時に雨露をしのぐようになっている。屋根裏は中二階で稲藁(いなわら)と麦殻の格納庫。小屋梁が邪魔にならないように鳥居組や曲がり木の梁など色々な工夫がなされている。裏の半間は長木の収納棚となる。誠に集約的にできている。これは米麦中心の農業経営によるものだが、盛六郷にのみ顕著に見られるのである。農業形態の変化により家畜も減って建物も失われつつあるが、これも残しておきたい気仙文化の一つである。

長屋造り

この地方の長屋とは、一般に言う連続建て住宅の ことではない。元々は長屋門の代わりに建てられた 農舎が由来であり、大工と施主による長い間の工夫 と注文によって完成された独特の作風を持ってる。 営農形態の変化に伴い本来の役割が減少し、消滅の 危機に瀕している。現在は母屋と別棟に建てられる 農舎併用の離れ住宅に変化している。

サイトマップ | 岩手・気仙の自然と風土 | 日本四大名工・気仙大工 | 平山憲治の「概説・気仙大工」
今も残る気仙大工の仕事 | 気仙大工伝承館 | リンク | 気仙建築士会 | お問い合わせ