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ケセン語訳聖書が「岩谷堂箪笥」の手文庫に納められたいきさつ
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バチカンへの訪問は昨年の秋ころから具体的に計画し始めました。仙台司教区溝部脩司教様のご助言もあり、昨年秋に枢機卿になられたばかりの濱尾枢機卿様にお願いの文書を書き実現の運びとなったものです。具体的に献呈式の段取りが付いたのが今年3月のことでした。 献呈式でのケセン語訳聖書の献呈が決まって以来、全四巻の本をどのような姿に仕立てて献呈式に臨んだらよいのか随分と考えました。日本らしい装いで献呈したいと考えたのです。初め考えたのは「組紐」や「水引」でした。どちらも、日本の伝統工芸なのでもってこいなのですが、いまいち自分の中でイメージがうまくまとまりません。そんな時に、ケセン語訳聖書の装丁を担当してくれた盛岡のデザイナー及川利春さんが「岩谷堂箪笥(いわやどうだんす)で手文庫を作ってもらったらどうでしょう?」と電話をくれたのです。 この提案を最初聞いたときには、岩谷堂箪笥では少し「ごつい」かなと感じたのですが、よく考えてみるとこの出版は日本国・岩手県で生まれ育った仕事です。岩谷堂箪笥には拭き漆が使われますが、漆器は英語で「JAPAN」といわれるほどに日本を代表するものです。さらに、岩谷堂箪笥の特徴とも言える鉄の金具は「南部鉄」。素朴で堅牢なデザインは少々ごつい感じはするものの、「ふるさとのイエス」が息づいているケセン語聖書に全く似つかわしいと考えを改めたのです。 そうしているうちに先ほどの及川利春さんが即刻岩谷堂箪笥に電話をしてくれたところ、岩谷堂箪笥を製造している「菊幸」の菊地幸一さんが無償で手文庫をつくってくれるというのです。しかも鉄の金具は手打ち金具です。出発までもう2週間もない時期に、全てオリジナルの手文庫を作ってくださるというのです。 オリジナルの手文庫は、マタイ・マルコ・ルカ・ヨハネのそれぞれの厚さに合わせて四つに仕切られています。 観音扉には手打ちの金具が取り付けられますが、この意匠はイー・ピックスのロゴマーク「椿をくわえた鳩」と「波」、そして「十字」が彫られています。椿は大船渡市の市花になっており、大船渡の末崎(まっさき)町の熊野神社には日本で最大・最古のやぶ椿があります。この椿はいわばケセンの文化や誇り、また「ふるさとの言葉で書かれた福音」の象徴として使われています。鳩は聖霊を象徴していますので、神様が世界中に「ふるさとのイエスが語る福音を送り届ける」という意味になるのです。このモチーフが手打ち金具となって手文庫の真ん中に配されました。 |