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| ▲三陸の海 | ▲吉浜鮑(キッピンアワビ) |
五葉山(ごようざん、標高1351m)を主峰とする山並みは、北西からの寒風をさえぎり、黒潮の暖気は降雪を和らげました。「気仙よいとこ 寒九の雨に、紅い椿の花が咲く」と菊池多記翁が気仙甚句に詩いあげたように、岬には自生の藪椿(やぶつばき)が寒さにめげず赤や白の蕾(つぼみ)をほころばせる温暖な椿の里でもあるのです。
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| ▲五葉山 | ▲椿 |
気仙匠の里への来訪は、船で入港する以外は気仙坂と呼ばれる峠の坂をいくつも越えなければなりませんでした。他郡の人々はそんな気仙を「……十坂めには鉋(かんな)をかけて平めろ」と囃(はやし)たてたとのことです。この言葉の陰には他郡の人たちの気仙に対する羨望(せんぼう)の気持ちが込められていたのかもしれません。
なぜならば、この境界こそが唐竹をはじめ様々な植物の北限の地であり、三陸の豊かな海から獲れる吉浜鮑(きっぴんあわび)をはじめとする魚貝類、五十集物(いさばもの)、塩等が搬入される塩の道(ソルトロード)であり、中世には平泉黄金文化を支える産金地の貴重な黄金の道(ゴールデンロード)だったのです。
気仙の地はこのように北国の地にあっても温暖で豊かな自然と産品に恵まれ、そして文字通り黄金を数限りなく算出した黄金の国とも呼ぶべき地域でした。
気仙の匠の集団が今日に至るまでその心と技を綿々と伝えるのは、この気仙の豊かな風土と歴史に無縁ではなかったに違いありません。
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| ▲春の金色堂 |